空気の温度と体積概念の調査  1993.5
1.原理丸ごとの事象 C:小4年生 弟:小3年生
  T:この試験管の中に何が入っているかな。
C:なんにも。いや,
空気かな。
T:よくみていてね。
C:あっ。
泡がでてきた。
T:どうして。
C:当たり前じゃん。
傾けたら出るにきまってる。
T:じゃ,水にいれたら。
 
C:でないな。傾いてないからだ。
T:じゃ。少し傾けるよ。
C:あれ,でないな。わかんない。
T:こっちは。C:湯
T:じゃ,こっちは。C:水
T:湯に入れるということは?
C:うーん。温める。
T:どうして動くの。
C:わからん!
2.空気の膨張によって動く1円玉 

 
T:見ててごらん。C:動いた。
T:やってみる。 C:やる。やる。
T:こっちは。  C:水
T:どうなると思う? C:動かない。
T:どうして湯だと動くの?
C:水がね,
押すの。
T:水? 水だと動かないよ。
C:
空気がバアーンとなるの。
T:空気がバアーンって?
C:
あのね。体積が増える。

 
T:じゃ。水に入れると?C:増えない。
T:もう一度,こっち(1の事象)見てご覧。
 何故,泡がでるの。
C:
空気がバアーンてなるんだ。
 あっ。空気が増えるんだ。
T:じゃ。もう少し,試験管を上げるよ

 

 

C:あっ。水が入ってきた。  
T:どうして水が入ってくるの。
C:このあたりがひえるから。
 
C:水がふえる・・・・んじゃなくて,空気がすくなくなる。
T:すくなくなる?
C:違う。
空気がちぢむ。
T:どうして。
C:わからん。
3.膨張する空気によるかんてんの移動






 
T:これ見てごらん。
C:動くんだに。
C:ほら動いた。
T:やってみる?
C:あれ。動かなくなった。???
T:これからどうしたい。
C:
戻したい。

T:どうすればいいの?        
C:水に入れる。            
C:ほら。もどった。あれ?とまった。
 
T:もういい?     
C:もっともどしたい。
T:どうすればいいの?
C:
もっと冷やせばいい
T:どうすればいいの。
C:そんなことできんもん。
弟:こおり入れればいいじゃん。

 
C:もどるもどる!
T:何がわかったの。
C:
温めるとこっちへいって,冷やすと
こっちへくる。
T:どうして。
C:わからん。
 
【考察】         
1の事象について     
@温度に目が向かない。  
A興味がわかない。    
2の事象について     
@温度に目が向く。    
A興味がわく。      
B空気の体積が増えるのではないか,と気付く。 
C戻そうとする意識がない。   
2の事象について
@ぼくもやろうとする。
A止まることによって疑問がわく。
B次への活動意欲がわく。
Cもどしたい。もっと・・。反対にという意識がわく。
D空気の膨張にきづかない。
3 子どもの考え方と教材
 この調査から
@ 暖めるとこっちへ行って、と働きかけたことと結果についての規則性には気づく。
A 何となく空気が増えて押すのではないか、という考え方の芽生えがある。
B 目には見えないが、空気の存在に気がついている。
C 空気の体積の増減には目がむき始めているが、膨張と縮小の関係に十分目が向くとはいえない。
D 膨張と縮小という概念は確立されていない。
E 働きかけた結果に対して、もっと動かしたい、元に戻したい、反対に動かしたいという意識がわく。
ということが分かった。
むしろ、この学習を通して、膨張、縮小という概念を育てていく内容と考えられる。

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